ぼくの行く道

青年海外協力隊2019年度1次隊(小学校教育)バヌアツ

自然は誰のものか

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土地って誰のものなんだろう。

こないだ村の人と話してて、疑問に思った。

 

日本の法律では、土地はお金を支払った人のものになってる。

国に払う税金はたくさんあるけれど、自分たちの土地は自分たちの財産。

バヌアツの村では、そんな法律はないのか、あっても気にしてないのか、

好きな場所に家を建てれるし、好きな場所に新しい畑を作れるんだよ!と言ってた。

 

土地って誰のものなんだろう。

もうちょっと大きい視点で見てみると、

戦争で土地を奪い合ってた時代がある。

日本の中でも、領地をめぐって戦をしていたし、

バヌアツは、つい39年前までイギリスとフランスの植民地だった。

 

もっともっと大きな、

小学校6年生の社会科「歴史」のはじめで学ぶ視点で見てみると、

地球の歴史が46億年。

人類(ホモ・サピエンス)の歴史が400万年。

 

地球の歴史を1年365日に当てはめてみると、

(地球が生まれた瞬間が1月1日0時、今現在が12月31日24時)

 

人類が生まれたのは

「12月31日 23時49分」らしい。

(年越しそばを食べながらの紅白歌合戦も終わって、

カウントダウンTVを見てる頃。)

 

文明が起こって、文字が記録として残ってる歴史は、5千年。

これは「12月31日 23時58分34秒」

(除夜の鐘を聞いてる頃。)

 

地球の長い歴史で見ると、日本の歴史ですら1分もないことになる。

 

自然って誰のものなんだろう。

 

 

バヌアツでは、

エキペ村の人だけじゃなく、

みんな自分たちの「ふるさと」をとても大事に思ってる。

 

けれどけれど、

すごく気になってることがある。

 

バヌアツの学校では、

毎朝、15~30分くらいゴミ拾いの時間がある。

時間もあいまいで、早く来てる子から拾う感じなんだけれど、

とにかく、毎朝、学校を綺麗にしている。

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ところが、授業が終わって、学校の敷地を歩いてると、ゴミだらけ。

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アメの袋、ポップコーンやスナック菓子の袋、鉛筆や壊れた定規、なぜかツナ缶のゴミ、などなど。

 

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そういえば、ゴミ拾いの最中、

子どもたちは、大量の落ち葉ばかり拾ってる。

そういえば、子どもたちは、

「カズはなんでプラスチックばっかり拾うの?」って声をかけてくる。

 

バヌアツの子どもたちは、

お菓子の袋も落ち葉も同じ単語「Dirty(汚れ)」で表現してるけど、あまり違いが分かってないのかもしれない。

 

学校から外に出て、村の中を歩いていると、ゴミだらけ。

大人もみんな、その辺にゴミを捨ててる。

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こんなに自分たちの国のことが好きで、

自分たちの村や自然のことが好きな人たちが

なんでだろう。

 

まず、多くのバヌアツ人は、食べ残しや食べカス(鳥の骨やフルーツの皮、野菜の芯など)をそこらへんに捨てる。

どの家でも犬を飼っていて、犬たちが我先にと食べるから。

たぶん昔は、ほとんど自然に還るものだけで生活していたから、何も問題なくて、

今でもその習慣が残っているんだと思う。

 

それから、10年前くらいに、今ぼくのいるエファテ島を一周するコンクリートの道路ができた。

それまではガタガタの土の道路しかなかったから、首都ポートビラに行くのにも大変だったみたい。

道路ができて便利にはなったけれど、簡単に都会に行けるようになったから、

安いスナック菓子とか甘いお菓子がすぐに大量に手に入るようになった。

 

そして、村にはゴミ収集車が来てない。

ゴミ収集車が来てないから、それぞれの家の庭のすみで燃やしてる。

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学校にもゴミ捨て場があって、定期的に燃やしてるから、ものすごい臭いを放ってる。

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つまり、

①ゴミをその辺に捨てる習慣がある。

②経済発展で生活が変わってきてる。

③ゴミを分別する知識がない。

④ゴミを回収するシステムもない。

 

これは手強い。

 

さあ、ボランティアのぼくには何かできるかな。

算数教育とは直接の関わりはないかもしれないけど、何かできることはあるかな。

 

まず、ぼくにできる簡単なこと。

学校でできることって何かなって考えたら、尊敬する一人の先生の姿がすぐに思い浮かんだ。

その先生は、毎朝、子どもが学校に来る前から学校の敷地内のゴミ拾いをしてる。

毎日、毎朝。

きっと子どもたちが気持ちよく登校できるように。

 

先週から今週にかけて毎日、全校で行うゴミ拾いの前から、1時間くらいゴミ拾いをしてみた。

登校してくる子たちに、挨拶しながら。

何してるの?って無邪気に声をかけてくる子。

遠巻きに見てるだけの子。

ただただ楽しく話しかけてくれる子。

一緒にゴミを拾う子。

ぼくの持っていたゴミ袋を持ってくれる子。

子どもたちはそれぞれの反応。

 

きっと、これでいい。

まさかぼくが拾ってる横でゴミを捨てる子はいないだろうし。

これを1年8ヶ月続けて、この日本人は毎朝必ずゴミ拾いをしてる、日本人は綺麗好きって印象が少しでもつけばOK。

ゴミを捨てる時に、チラッとでもそのことが頭をよぎれば大成功。

ちょっとのためらいが行動につながる、かも。

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(学校の敷地内だけで、しかも1時間だけで、こんなに拾えるほどゴミがあるってすごくない?)

 

それから、環境教育の授業で正しい知識を。

プラスチックが簡単に分解されないこと。

温暖化によって着実に地球の環境が悪くなってること。

自分たちの国の自然を守るために必要な行動。

 

授業を通して、

高学年の子たちを中心に、環境に関する運動もできるかもしれない。

子どもたちとキャッチフレーズを決めて、ゴミ拾いをしながら村を歩いてもいいかも。

 

各クラスに、ゴミ箱を置く必要もある。

 

それまでの習慣を変えるには、相当な時間と知識と労力が必要だと思う。

たぶん、思いとか正しい知識だけじゃ足りなくて、村の人にも利益のあるシステムが必要だと思う。

 

首都ポートビラ環境教育をしてる先輩のボランティアがいる。

最近は、村を回って活動をしてるらしいから、協力できるはず。

エキペ村にも来てもらって、キャンペーンをしてもらえたらいいな。

エキペ村にも、ゴミ回収車を回してもらえるといいな。

初めのうちは村の人の習慣がないから、ゴミ回収のためのゴミ袋も村に提供できるといいな。

 

できることはきっといろいろあるんじゃないかと思う。

うまくいくかどうかは分からないけれど。

ちょっとでも変わるかもしれないし、何も変わらないかもしれないけれど。

まず、行動してみようと思う。

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