ぼくの行く道

青年海外協力隊2019年度1次隊(小学校教育)バヌアツ

バヌアツ人の大好きな飲み物

バヌアツ人が大好きな飲み物がある。

 

コショウ科の木の根を細かく砕いて、水に絞って作る飲み物。

泥のような見た目で泥のような味の飲み物。

 

「カバ(Kava)」

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バヌアツに来てすぐの頃に、先輩に連れて行ってもらって

カバを初体験した。

 

カバを飲める場所は、

「カババー」とか

「ナカマル」と呼ばれる。

(ナカマルという言葉は、集会場という意味で、

バヌアツ人にとってはみんなで集まる大切な場所。) 

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初めは、なんて不思議な味…(というか、ひどい味。)

と思ったけど、

 

しょっ中飲むようになった今でも、

なんてひどい味。と思ってる。

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(もう一度言うけれど、

泥のような見た目で泥のような味。)

 

カバを飲む感覚は、お酒を飲む感覚と似ているところがあって、

飲むと酔っ払う。

とは言っても、テンションが上がってフワフワするお酒とは違って、

逆に身体がズ~ンと重くなってぐったりする。

嫌な感覚じゃなくて、リラックスする感じ。

カヴァラクトンと総称されるいくつかの向精神物質群を含む。

カヴァ - Wikipedia

(つまり、鎮静作用があるってことらしい。)

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昔は、男の人だけが飲んでいいものだったらしく、

その決まりが無くなった今でも、

首都のポートビラのナカマルでは男の人が比較的多い。

 

村では、あまり周りの目を気にする必要ないからか、

男の人も女の人もみんな気にせず飲んでる。

 

 

昔は、儀式や大きなイベントがある時に飲む特別な飲み物だったらしく、

今でも、冠婚葬祭を始め、何かしらのイベントの時には必ずみんなで飲む。

 

まあでも、みんな日常的に飲んでいる。

毎日飲む人、週末だけ飲む人、週末は昼間から飲んで寝てる人など、

人それぞれ。

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カバを飲むときには、

暗くて静かな場所がいいらしい。

バヌアツ人は、

「カバの声を聞くんだよ。」と言う。

 

夕方になって薄暗くなると、

ナカマルに人が集まり出す。

薄暗い空間で、ボソボソとおしゃべりを楽しんで

リラックスして家に帰る。

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(エキペ村では、道路に座って

リラックスしまくって飲んでいる若者たちも多い。)

 

カバを飲むたびに、なんて味だろう。と思うけれど、

ボクも今では、1日の終わりに友達とカバを飲んで

ふ~っとリラックスする時間が好きになってる。

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(※お酒と一緒で飲みすぎは注意。

飲みすぎると気持ち悪くなって吐くし、

さらに飲みすぎると、足や手がガクガクして立ち上がれなくなる。)

 

 

そんなカバにまつわるおとぎ話。

 

「カスタムストーリー」(エキペ村に伝わる伝統的なお話)

 

(村の友達が教えてくれたんだけれど、

ビスラマ語の語学力が十分ではないため、

ボクなりの勝手な想像と解釈が多く含まれます。)

 

昔むかし、ある小さな島に、

穴掘りの好きなネズミがいました。

 

ネズミは元気で、

毎日毎日、せっせと地面に穴を掘っていました。

ある日、

ネズミがいつものように穴を掘って地中を進んでいると、

ある木の根にぶつかりました。

ネズミはたくさん地面を掘ってお腹が空いていたので、

木の根をカリカリとかじりました。

すると、不思議と眠くなって

いつの間にか眠りこけてしまいました。

 

次の日、ネズミが起きると、

身体がとても軽く、疲れが全部取れていることに気が付きました。

それからというものの、

ネズミは地面を掘りながら、その木の根っこを探しては、

カリカリとかじり、

トロンとした眠りの中に落ちることが日課になりました。

 

ネズミの住む森には、森の神様がいました。

ある時、

神様は、会議をするために、森のあらゆる動植物を集めました。

けれど、いつまでたってもネズミだけ来ません。

そうです。

この日、

ネズミは、あの木の根っこをかじって、昼間から眠りこけてしまっていたのです。

待っても待ってもネズミが来ないので、

神様は、次の日にまたみんなを集めることにしました。

 

次の日、

会議に来たネズミは、神様に昨日のことを謝り、

あの不思議な力のある木の根っこを見せて、説明しました。

その木の根っこのことを知らなかった神様は、ネズミの話をおもしろそうに聞きました。

それから、

みんなが食べやすいように、水に浸して絞って飲み物にしてみました。

神様もみんなも、ネズミと同じように、

トロンとした眠りに引き込まれて、この飲み物をとても気に入りました。

 

神様は、この木を大事なものと決めました。

それからというもの、

この小さな島、バヌアツでは、

不思議な木の根っこから作る飲み物

「カバ」を大事な飲み物として、みんなで大切に飲んできたのでした。

 

(バヌアツらしい

のんびりとして幸せな物語だなと思う。)

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