ぼくの行く道

青年海外協力隊2019年度1次隊(小学校教育)バヌアツ

(メモ)活動の展望「良いと思うもの」か「合うと思うもの」か

 

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バヌアツに来てから、58日。

エキペ村に来てから、31日。

学校が始まってから、3週間

 

授業もまだ本格的に始まったばかりだし、

コミュニケーションのための言語もまだまだ拙いけれど、

現職教員参加制度で来てる分、活動期間も短い。

あまりのんびりしてられない。

 

とは言え、焦らずに。

時運があるから適切な時機に適切な活動ができるようにしたいとも思う。

 

とりあえず今の時点で、今後1年8ヶ月の活動について自分の考えを文章にしておきたい。

(もちろん、やりながらどんどん変わっていくとは思うけど。)

 

ぼくの活動の要請は、

「小学生の算数の基礎学力向上のために、支援を行う。」

こと。

 

自分なりの視点で、この3週間地域と学校、子どもと先生を見て、

それから、同じ職種の先輩隊員から話を聞いて、

 

日本でいうところの「研修」が必要なのかな~、と思った。

 

エキペ小学校の先生たちは、

「何でもいいから新しい、もっといい方法を教えてよ。」

「前にいた隊員は、100マス計算を教えてくれたんだよ。」

「この1時間使っていいから、何かいいやり方で授業してよ。」

と、知識に対してすごい意欲。

(知識とか情報とか、新しいリソースが入ってくる機会も少ないからね。)

つまり、要するに、すぐに使えるメソッドを知りたがってるように感じる。

 

もっといい方法を知りたいっていう熱意、

いいなと思ったものをしっかり取り入れてずっと使っている習慣、

すごい。すごく尊敬できる。

 

ただ、支援する立場から考えると、脈絡なくすぐに使えるメソッドだけ伝えていっても、

パッチワークのように、つぎはぎだらけの実践になっちゃうかなと思う。

エキペ小学校にずっとボランティアを配置できるわけじゃないから、

支援終了の日を意識して、自分たちで授業研究・改善をする習慣の素地を作れたらいいなとも思う。

 

日本の教員の一人として、

ぼくも日々、授業研究をしてたし、目の前の子たちにどんな伝え方をしたらいいかなって考えながら、

毎日毎日毎日学んで

たくさんの先輩に育ててもらってた。

 

「すぐに役に立つものは  すぐに役に立たなくなる。」っていうのは、

上皇様の教育係をした小泉信三さんの言葉らしいけど、本当だなと思ってる。

すぐには役に立たないものが、いずれ大きく深い力になると思う。

 

だから、できれば「目の前の子たち」に「この単元の内容」を教えるには、どんな方法がいいか

エキペ小学校の先生たちと相談しながら、お互いに成長したい。

 

理想を言うようだけれど、

今、目の前の子たちの学びを一緒に考えることで、

長い目で見て、成長できる力をお互いに付けていきたい。

 

そのためには、1週間に1回来る人じゃなくて、

1週間、できたら1単元を通して1つのクラスに入りたい。

 

そんなことを考えて、自分の考えをミーティングで話してみた。

いやー、ダメでした。

今年度は、1週間に1回ずつクラスに入って授業してほしい。と。

まあ、そりゃ3学期の途中から突然そんなやり方、難しいよね。

 

結局、ぼくは自分が「良いと思うこと」を提案してただけで、

それが相手にとってどうかは分からないまま考えを進めてたみたい。

 

相手が「良いと思うもの」

(相手の状況とか求めるもの、思い。)

自分が「良いと思うもの」

(自分の考えの核心。)

 

どちらか、じゃ足りなくて、

どっちにも「合うと思うもの」を一緒に探り当てなければいけないんだろうな。

 

そこで、もう少し考えを進めて、

 

この3学期にはまず、

・先生たちの意識調査のためのアンケートをとる。(算数に対する思いや考え、子どもの学力への分析。ボランティアに求めるもの。)

・子どもたちの学習到達度を測るテストを実施する。(全領域について広く分析して、今の到達度を数値化する。)

・ぼくの授業を、各担任の先生たちと事後分析して、良いところ・改善するところを検討する。(授業の振り返りを通した学びの実感。)

 

全て、来年度1年間のための種まきとして。

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ところで、日本の先生たちは、どうやって、どこで、

クラスや子どもたち、授業について学びを深めてるんだろう。

 

自分の体験で考えてみると、

まず、何と言っても

・日々の実践(子どもたちから)

 

それから、

・同僚の先生との放課後の会話

・先輩先生への相談と、もらうアドバイス

校内では、

・研修の時間

・研究授業

校外だと、

・年次ごと、立場ごとの出張研修

・自主的に受けるセミナーやワークショップ

・本や文献

・ネットや資料

 

というところでしょうか。(当社調べ)

少し大げさに言うと、

9割が日々の実践で、

そこで学び、成長していくために、

上のような方法で、広く学びを深めて、少しずつ力を付けていくんじゃないかと思う。

 

「研修文化」がある、という感じ。

 

では、バヌアツの小学校では、ぼくは何ができるんだろう。

バヌアツでは、日本でいう「担任発表」はない。

1年生の担任は、この先生と決まってるから。受け持つ学年が固定されてるらしい。

毎年、同じ学年を持ってるからもちろん慣れてて、それぞれの先生は各学年の専門家。

その反面、持ってる経験でできてしまうから、授業研究をしてる姿は見かけない。

(授業中に、教師用ガイドとにらめっこしてることも。授業が終わったら、帰る。)

 

ぼくの活動の目的、ゴールは、

「研修文化の醸成」までは難しいだろうから、「研修文化の素地」を作ることにしたい。

つまり、「研修主任」のような立場かなと思ったら、すごく分かりやすくなった。

(それからすぐ、お世話になった研修主任の先輩先生たちを、思い浮かべた。)

 

では、来年度1年間で、

先生たちの校内での『学び』をどうデザインするか。

 

・1週間を通したTT指導に入る。

(同僚の先生たちと一緒に授業を受け持ち、授業計画→実施→振り返りを通して学ぶ。)

・研究授業と事後研修を導入する。

(他の先生の授業を気軽に見る雰囲気と、良いところ・改善点をお互いに学び合う場作り。ただし、日本でも研究授業って聞くと、え〜と思う先生は多いと思うから、慎重に導入する。)

・ワークショップやチームビルディングの時間を受け持つ。

(知識伝達型の講義ではなく、対話をベースにして学び合う体験を積む。)

 

先生たちの相互連携、相互学習を目的に、

そのための場作り、システム作りを行う。という感じ。

 

バヌアツでの活動を考えながら、やっぱり頭に浮かぶのは日本の学校で、

「校内での学びの促進」って大切だよな~とか、

「学び合う組織」ってどうやったら作れるんだろうとか、

「同僚性」があるから、支え合えるんだよな~とか、考える。

 

さあ、進む目的地と方向が分かれば、

そこへ向かう道はきっと無数にある。

模索しながら、試行錯誤しながら、行ったり来たりしながらやってこう。

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