ぼくの行く道

青年海外協力隊2019年度1次隊(小学校教育)バヌアツ

村の日曜日

バヌアツでは、多くの人が休日に教会に行く。

f:id:Bokutaro:20191021105641j:plain

エキペ村のぼくの家族や近所の人たちは日曜日が教会に行く日。

(教会によって、土曜日だったり月曜日だったりもするらしい。)

 

教会では、みんなで

聖書を読んだり、

聖歌を歌ったりする。

f:id:Bokutaro:20191020171406j:plain

 

聖書の朗読は、早口のビスラマ語でほとんど何を言ってるか分からないんだけど、

聖歌は、すごい。

 

事前に歌う曲が決まってるのか、決まってないのか、

聖書の朗読の合間に、一人の人が突然、歌い出す。

すると、3小節目くらいからみんなが合わせて歌い出す。

 

バスからソプラノまで、自分の好きな音程で歌う。

そのハモりの美しさ!

こんな風に自然にハモれたら気持ちいいだろうな~という感じ。

 

教会では、

じッと目をつぶって祈ってるおじいちゃんおばあちゃんもいれば、

マットでゴロゴロしてる子どももいる。

f:id:Bokutaro:20191020171415j:plain

 

ここでの宗教のことは、まだあまり分からないけど、この空間は好き。

 

バヌアツでは、多くの人がキリスト教を信仰している。

(その中では、いくつかの宗派に分かれてるみたい。)

 

だから、当然、

「あなたはどんな宗教を信じてるの?」と、よく聞かれる。

 

正直、答えるのが難しい。

「ぼくの家族は、仏教を信仰してるんだよ。」とぼく。

「どのくらい仏教の教会に行くの?(お寺のこと)毎週?」と友達。

 

え、毎週は行かないよね。

(お墓参りと何か行事ごとがある時だから、半年に1回くらい?

あ、年末には除夜の鐘を聞きにに行くよな。)

 

と、ぼくが曖昧な答えをするとみんなビックリする。

後から話に加わってきた友達たちに

「カズは、1年に2、3回しか教会に行かないらしいぞ!」って、どんどん説明してくれる。

 

こんな風に自分たちの宗教をとても大切にしている人たちと話すと、

日本人の宗教観は、独特なんだろうなと思う。

 

日本では、様々な宗教が生活に密接に関わってる。

 

ぼくの場合は、

 

年末は、仏教のお寺で除夜の鐘を聞く。

ぼくの家族のお墓もお寺にあるから、ご先祖様に手を合わせに行くし、

家族が亡くなった時には、お経をあげてもらう。

友達と一緒にお参りしたあのお寺の荘厳さは忘れられない。

 

お正月は、神道の神社に初詣。

厄払いに行くこともあるし、

家族の健康や幸せを願って参拝することもある。

ぼくの名前も地元の神社でいただいた。

 

幼稚園と大学はキリスト教の学校だったし、

親戚の中には、牧師さんをしていた人もいる。

友達の結婚式には、キリスト教の教会に行くことが多いし、

クリスマスは、みんなでご馳走を食べながらお祝いする。

 

1つの宗教と1つの神様を大切にしている国の人からしたら不思議なのかもしれないけれど、

 

日本人にとっては、

八百万の神(自然の中のありとあらゆるものに宿る神様たち)

って考え方もすごく自然に感じるし、

 

日常生活の中のそれぞれのシーンで、

それぞれの宗教を信じるってとても自然なことだと思う。

 

臨済宗大本山妙心寺退蔵院

松山大耕 副住職は、

この動画の中で、

www.youtube.com

 

日本人の寛容な宗教観は、とても大切なものだと言っている。

(どの宗教も広く受け入れる心。)

 

この大耕和尚さんの話は、とても分かりやすくて面白い。

宗教の違いを、食の違いに例えてるところを、簡単に要約すると、

 

仏教発祥の地インドの、とても厳しい戒律(守らなければならない約束)のある仏教と、

普段は厳しい戒律はないけれど、ご先祖様と礼節を大切にする日本の仏教。

 

インドの人からしたら「こんなの仏教じゃない。」と言われてしまうかもしれない。

仏教じゃないなら、

じゃあ、日本の仏教は何て呼んだらいいんだろう。

 

カレー発祥の地インドのとてもスパイシーで辛いカレーと、

日本の甘くてまろやかなカレー。

 

インドの人からしたら、「こんなのカレーじゃない。」と言われてしまうかもしれない。

じゃあ、ぼくたちが普段食べてるカレーは何て呼んだらいいんだろう。

 

「日本の仏教。日本のカレー。」と呼ぶしかない。

 

和尚さん自身の大学の頃の研究によると、

インドのカラッとした夏の気候には、インドのカレーが合うし、

日本の湿度の高いジメッとした夏の気候には、日本のカレーが合うことが分かったらしい。

 

食というのは、その土地の気候・風土に大きく左右されます。

宗教も同じで、もちろん気候・風土、それから歴史・文化・伝統など、いろんな要素で、

その国にふさわしい形に洗練されてまいります。

 

 

ぼくは、日本人の宗教との付き合い方、好きだなと思う。

けれど、この感じをビスラマ語でバヌアツの人に説明できる日は来るんだろうか。

f:id:Bokutaro:20191021105654j:plain