「ブラブラしてるだけ。」
エキペ村では、どこで誰に会っても声をかけてもらえる。
この、フレンドリーさや気さくさは、
村の人たちが自分たちで誇ってるものでもあって、
ボクの友達たちも
「怖がる必要はないよ、村のボーイズみんながお前の友達だから。」
「みんなフレンドリーだから、いつでもご飯食べに来なよ。」
「エキペ村は、みんなフレンドリーでいいだろう。」
とよく言ってくれる。
道ばたで会うと、まずは必ず、
エキペ村の言葉で、
マンゴルセ(おはよう)
レアット(良い昼さがりだね。←グッドランチと同じ意味らしいけど、日本語訳が難しい。)
ドラビ(こんにちは)
エンボン(こんばんは)
と時間の挨拶をする。
そのあと、ビスラマ語の定番のセリフ。
「アフター?」
英語を勉強している中学生は分かると思うけれど、
「After」という単語は、
「あとに、~したあとで、~してから」などの意味がある。
バヌアツの人たちは、この単語を、挨拶がわりに
「それから?」
「何してるの?」
「どこ行くの?」
とか、ものすごい広い意味の質問で使う。
「首都に行くところだよ。」
「〇〇に会いに行くんだよ。」
と、この後の予定を答えれば正解だけれど、
村人からの返事で圧倒的に多いのは、
「ウォークバウト ノモ。」
ウォークバウトは、英語のWalkから転じて「散歩、歩いて行く」くらいの意味かなと思う。
ノモは、英語でいうとOnlyと同じ意味で「唯一の、~だけ」という意味。
そこでボクの頭の中では、
「ウォークバウトノモ。」は、
「いや~、ただブラブラしてるだけだよ。」
と変換されてる。
つまり、
ただブラブラしてるだけの人がものすごく多いってこと。
これだけでも、
日本では、ほとんど見かけない光景だと思う。
ちょっと大げさかもしれないけど、
日本人は、何をするにしても目的があるような気がするし、
散歩するにしても、
どの道を歩こうかっていう道順とか、
何時頃に帰ろうかっていう時間感覚とか、
見通しを持ってる。
バヌアツ人は本当に、見通しを持たない。
(これは、良いところでもあるし、課題にもなる国民性だと思うけど。学校現場では、けっこう大変。)
行き先も特に決めず、
いつ帰ってくるかも特に考えず、
のんびりのんびり、
ブラブラと歩いて行く。
村の友達たちと一緒に歩き出したら、
どこに向かうのか、
いつ帰るのか、
全く分からないから、今のボクはまだとても毎日は参加できない。
(べつに帰りたくなったら帰ればいいんだけどね。)
この日は、
村の教会で、みんなでご飯を食べたあと、
同い年くらいの友達2人とブラブラ散歩をした。
村の中をブラブラしながら、
いろんな人と会話をして、
マンゴーを採りに行こうということになって、
2人の畑に行った。
(今は、バヌアツはマンゴーの季節で、文字通り、
食べ切れないマンゴーが木の下で大量に腐るほど、たくさんたくさんある。)
畑は、村よりも小高い森の中にあるから、
ちょっとした山道を登って。
登った先の開けた場所は、涼しくて
思った以上に気持ちのいい場所だった。
マンゴーの木の下で座って、
のんびりおしゃべりして、
お腹がタポタポになるくらいマンゴーを食べて。
結局、その日は夜に村でイベントがあって、
それが終わってから、10時くらいに家に帰った。
半日以上、何時間も一緒にブラブラしてたことになるんだけど、
時々、こうやって過ごすのは、
すごくいいな、と思った。
(まだ今は「時々は」だけれど。)
結局、
何日分だろうかって量のマンゴーをもらった。
毎日、マンゴー生活。